元取引先の担当者から社長へ。社員に直接メッセージを伝えられないコロナ禍に就任。

東海ビジネスサービス株式会社

2020年8月より事業継承し、代表取締役社長となりました。 自身で4代目となりますが、先代の遠藤は心臓のバイパス手術をしており、コロナになると命の危険があるため、引退した経緯があります。そのため3代目は1年未満なので、実質3代目だと思っています。

  
  

<事業承継までの経緯>

2010年頃より前職の一担当(3か月程度のスポット案件)として、当社の仕事を受託。

その後は、当時の代表である加藤(名誉会長)より、経営相談を不定期ですが受けておりました。報酬を頂いていたのではなく、飲食をご馳走いただきながら相談を受けるような関係性でした。

会長へアドバイスをしていたからか、参画する2018年頃より、事業継承の打診を頂きました。

ただ当時はM&A部長として部を引っ張っておりましたので、事業会社に転身するという気は進まず、一度は保留とさせていただきました。

しかしその後、しばらく考えた中で、コンサルタントは外部の第三者として意見を言いますが、意見に対して責任は負わないので、コンサルタントとしてのやりがいに疑問を感じました。

経営者と話すのであれば、やはり経営者としての経験がないと対等に話ができないので、経営をやりたいと思い快諾しました。

2019年5月から本格的に参画し、2020年8月に代表取締役に就任しました。

<主な事業内容について>

【SES事業】

IT技術者の派遣事業を行っています。

設立当初より行っている事業となり、大手SIerを中心に当社のITエンジニアがクライアント先に出向き、客先にて技術力を提供しています。

インフラ関係の案件が多いですが、開発案件や業務支援、学校の支援業務など幅広く行っています。

【ITコンサルティング事業】

現代表 田中が立ち上げた新事業です。

主に中小企業をターゲットとして、M&AをITの側面で支援する「ITデューデリジェンス業務」と、中小企業のDX化の支援を行う「業務効率化支援業務」を中心に行っています。

当社はこれまで大手企業がクライアントのSES事業にて多くのITノウハウを身に付けてきました。

そこで得たノウハウや、当社のITエンジニアたちのスキルを、ITリテラシー等の知識不足により課題を感じている中小企業に還元することにより、中小企業の事業継続の支援をすることを目的として事業部を立ち上げました。

中小企業の事業継続がなければ日本の発展はありません。

個人事業主も含めると400万社以上あると言われている中小企業に目を向け、DX化のサポートを行うことにより、日本全体のIT化を促進し社会貢献を行うとともに、当社の社員の市場価値を高めていく環境にしていきたいと考えています。

<承継後改新・改革して成功したこと、失敗したこと>

■成功したこと:人財の投資を実行

①引っ越し

本社のメンバーの環境改善のため、コストアップ覚悟で和式トイレであった古い本社から引っ越しを断行。

自分たちが環境に満足がなければ、外にホスピタリティを与えることはできず、また採用に関しても前のオフィスでは入社したいという欲求は薄れるため不利に働くと考えた。

その他、来社率が50%アップするなど取引先面談にも貢献。本社の社員も明るくなった。

②人事部設立

今まで、人事部がなく、総務部門が片手間で採用をやっていたことから秋以降での採用が多く、それまで内定がもらえなかった学生へのを採用活動となっていた。

⇒人事部部門を作り春からの採用をスタートさせ、他社と同じタイミングで学生に情報を伝えることができ、より欲しい人材を採用でき、若手社員のレベルを向上させることができた。

③給与水準アップ

給与水準を一人あたり年収30万程度の引き上げと、職務主義による給与体系に変更。

⇒利益の80百万円がなくなった。こちらは、人材の流出を防ぐために実行。

■失敗したこと:

・代表就任時がコロナ禍ということもあり、社員に会うことができませんでした。

改革には社長が直接社員全員に会い、自分の想いやビジョンなどを伝えなけれはいけないという思いが強くありました。

現在は社員一人ひとりとの面談を実施し、直接思いを伝えています。

・慣習を替えるには自分1人ではなく、同じ考え、思いを発信できる腹心のメンバーが必要ですが外から連れてこなかった為、改革が鈍化していると感じています。

現在では上記失敗点を踏まえ、未来図ブックという冊子を作成し、自分の考え方を伝えています。

また、次世代を担ってほしいメンバーを私の独断で指名して、まずは少人数に対して共感を得てもらうような動きをしています。次世代のメンバーと密にやり取りし、次世代メンバーを軸に浸透させて行きたいと考えています。

<成功して得た実績>

目標単価という一人当たりの月額予算を設定したことで、SESの一人ひとりに単価概念を持たせ、社員売上が10%程度アップ。

これまでは評価が年功序列であったことが要因かと思いますが、個人の予算設定がありませんでした。SEは、スキルに応じて予算が変わりますが、スキルでの判断がなかったのが要因です。

人事評価制度を作成し、それぞれのランクを決定し、ランクに応じて交渉するための単価を設定し、最低単価を下回らないように価格交渉をしてもらっています。

単価は、営業職には伝えて、ベースの報酬以上でないと仕事を取ってきてはいけないという流れにしています。

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