膝関節の再生医療のお話

2023年9月29日 10時00分 医療法人前幸会 ささゆりヘルスクリニック

「膝の痛みが辛い、でも手術はしたくない」という方に

    
    

医療法人 前幸会 ささゆりヘルスクリニックで行っている、変形性膝関節症に対する再生医療をご紹介致します。

ご家族に膝の痛みでお悩みの方はいらっしゃいませんか?
ささゆりヘルスクリニックで行っている再生医療の中の「膝関節に対する治療」をご紹介します。

Q 数年前から歩くと膝が痛く、整形外科で変形性膝関節症と言われました。
変形性膝関節症の手術が怖いです。
最近、いろいろな再生医療があるようですが、どのような治療法なのか教えてください。

A 変形性膝関節症は、体重が増えたり膝を使いすぎることにより、半月板や軟骨がすり減るとともに炎症により膝関節内の環境が悪くなっていきます。
膝の痛みはその結果生じてきます。
しかし、カラダには自己修復する力が備わっています。
このカラダの能力を利用して治療するのが再生医療です。

【再生医療 ① PRP(多血小板血漿)療法】
修復に力を発揮するのが血液中にある血小板です。
血小板には主に血液を固めて出血を止める作用がありますが、組織の傷を治す働きを助けたりする成長因子も含まれています。
それを利用したのが「PRP(多血小板血漿)療法」です。
PRPは自分の血液を遠心分離器で血小板中の成長因子を取り出して、専門の機器で濃縮します。

濃縮された成長因子は注射器で患部に戻すことでその組織の改善が促進されるのです。
しかし、簡易的な方法ですので、濃度や純度も若干低く、3-4回注入しないと効果が出ない人もいます。

【再生医療 ② 乾燥凍結PRP療法(PRP-FD)】
PRPの弱点を補うために開発されたのがのが「乾燥凍結PRP療法(PRP-FD)」です。

加工期間は3週間ほど必要で、余計な白血球や赤血球などの血液成分が取り除かれ、成長因子は約2倍になるなど純度や濃度を高めています。
純度が高い分、注入後の炎症も少なく、比較的速やかに痛みの軽減が得られます。
PRPは採血した当日に関節内に注入しますが、PRP-FDは最低3週間の加工期間が必要です。

PRP-FDは痛みに応じて半年から1年に1回の投与が目安です。

【再生医療 ③ 脂肪由来幹細胞(ASC)治療】
上記2つの方法からさらに進歩した再生医療が「脂肪由来幹細胞(ASC)治療」です。
カラダの脂肪組織には元々幹細胞が存在しています。
幹細胞にはさまざまな細胞に変わることのできる能力(多分化能)を持つ細胞が含まれています。

また、この細胞自身も分裂して増殖する自己複製の機能も持っています。
その他免疫を調節して、正常に戻す作用(免疫調節作用)、損傷部位に集まる能力(ホーミング効果)、様々な機能性物質を分泌し周囲の細胞に働きかける能力(パラクライン効果)をも持ち合わせている細胞の親玉なのです。
では、変形性膝関節症に対する幹細胞治療をどのようにするかを説明しますと、
患者様の腹部の脂肪組織を約2㌘採取して、幹細胞を培養増殖した後、それを膝関節に注射します。

すると幹細胞は膝関節内で周囲の細胞や組織に作用して、炎症や痛みを抑えるとともに組織の修復をしてくれます。
また脂肪由来の幹細胞が出す抗炎症サイトカインが炎症性サイトカインの活動を阻害することで痛みを和らげてくれます。

よく勘違いされていることは、ASC治療をすれば「軟骨や半月板が新しくなる」「人工関節置換術の代替になる」と思われていることです。
『再生医療』なので「完全に再生する」、「膝がサラぴんの状態になる」
「若い頃のように駆け回れるようになる」
と期待される傾向があります。

しかし現在のところ、膝関節の再生医療は組織を「真っ新(まっさら)」にするのではありませんし、手術の替りでもありません。
これらの再生医療は、症状の初期〜中期段階の対症療法、重症期になり最終的に手術を選択せざるを得ない状態までの期間を長くする治療と考えていただく方が分かりやすいかと思います。

だからと言って諦める必要はありません。
膝の痛みが改善することで、生活の質がぐんと上がります。
それが痛い手術や、繰り返し膝にヒアルロン酸を打たなくても得られるのですから
すごいことです
「私には再生医療が合っているのかしら・・」
など分からないことがあれば、ぜひご相談ください。

*現在、この治療は自由診療です

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